2015 June
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長い留守で溜まっていたさまざまな雑事を片ずける、渋いパリの日々。車の車検 も気がついたら切れる寸前!でもソコはフランス人「後イチニチ、つま り明日 しかないんですけど・・・」と焦る私に「気が付いて本当に良かったわね、大丈 夫!何とかしましょう!」と。まずは優しいNISSANの担当者の元へ走る。 |
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主人の講義のためボザール(芸大)の校舎を初めて訪れる。ガス工場の跡地を建 築家、フレデリック・ボレル氏がリノベーションした校舎は各々の教室 やそれ を繋ぐ渡り廊下など、ダイナミックな構成で面白い。スケールの大きな眺めが圧 巻の図書館、でも静かに調べものをするにはやや趣きに欠けるよ うな気がす る。小さなCOZYなコーナーが欲しくなるのは私だけ?パリと郊外の境界線であるこの辺りには新しい 建築物が多く、ちょっとした建築展のよう。 |
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り講演会も無事に終わり、教授陣と学生さん達との懇親会。皆さん日本に興味 深々のようで、主人は質問攻めに・・・。日本の大学とはそもそもの成り 立ち が違って、あらゆる年齢の学生さんが、さまざまな形で履修している事は興味深 く、「単一」という思考とは違う「複視眼」的な思考はこんなところから育まれるのだろうか?すっかり学生に紛れてワインを片手にチップスをつまむ私が妻だとは誰も思わないはず・・・。 |
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サンジェルマンに住んでいると右岸に渡る事はなかなかないので、シャンゼリゼ 通りは歯医者さん行く時に通るくらい。スペインの国賓を迎えて鮮やか な国旗 が並び、やっぱり華やかなシャンゼリゼ。グランパレの前にはベルリンの壁崩壊 の記念碑が。1989年11月9日・・・、もうあれからずいぶ ん時が経った事に驚く。 |
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グラフィックデザイナーの友人、D御夫妻の新居に伺う。建物全部を買い上げ、 各階の天井を抜いて階層から作り直すと言う壮大な計画。それも個人で さらに はパリ市内・・・。昨年の夏、まだ現場だった頃に見せて頂いた時にもそのス ケールには驚いたけれど、仕上がりの完璧さと塗装の美しさは目を 見張るばか り。どんなデザインでも細かい部分まで「施工と塗装の仕上がりの精度」が全体 の美しさを決定するのだと改めて実感する。スケールが大き すぎて私の小さな カメラでは写真には収まりきらない・・・。いつお会いしても「一度しかない人 生、自分の才能で自由にダイナミックに生きる醍醐 味」を感じるようなD御夫 妻、彼らの生き方そのもののようなお宅に感激する。 |
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結婚したばかりの頃、蚤の市が大好きだった私。毎週末どこかの蚤の市で食器や 古着をちょこちょこ買っては大喜びしていた。9歳年上の夫は「また行 く の?」と・・・。今でも週末になるとパリ市内のどこかの広場でやっている「ブ ロカント」、つまり古物市を見るとつい立ち寄ってみたくなる。一日 中蚤の市で掘り出し物を探す・・・そんな気ままな時間は今はもうないけれど、懐かしい 思い出。 |
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マレ地区にある中世にタイムスリップしたような遊歩道。緩やかな坂をのんびり 歩いていると教会の鐘が響き渡り、いよいよ気分は中世に・・・。坂の 中ほど にある修道院で作った製品を売るこのブティック、アロマオイルやハーブ ティー、まるでピーターラビットの物語に出てきそう。素朴な自然の匂 いが立 ち込めて何だか神聖な中世の朝・・・。 |
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世界中の食料品を扱うこのブティック、細長い店内には世界中のスパイスやドラ イフルーツ、お茶や缶詰、自家製のオリーブやさまざまなお惣菜が並 ぶ。結婚 したばかりの頃から通っているけれど、御夫妻で切り盛りするスタイルも変わら ず、少しお年を召されたとはいえ相変わらず「食料品の百科事 典」のような素 敵なカップル。スパイスやオリーブのエキゾチックな匂いに、居るだけで世界旅 行でもしているようなファンタジックな気分になる。 |
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長い間お会いしていなかったD氏と、久しぶりにサンジェルマンでランチをご一 緒する。上海から帰国したばかり、いつものようにお忙しそう、でもな ぜかあ まり元気がない今日。世界中をビジネスで飛び回って来たけれど、本当に大切な ものは「愛と健康」だよ・・・と、いつになく神妙。母の最期、 8ヶ月にも渡 る看病の生活を「最高の時間の使い方だね」と褒めて頂いて嬉しい。忙しい忙し いと、大切なものをポロポロとこぼしてきた自分の人生を とても悔いている、 と唐突に言われて困惑する。いつも快活で愉快なD氏だけに・・・。快晴のサン ジェルマン、美しいインテリアのレストランもなぜ か少し悲しい。 |
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6月とはいえ肌寒いグルーミーな霧の朝。さまざまな思いを抱えとうとう本当にお別れの時がやって来る。パリー東京と往復の生活も復活し常にリミッ トのある日々の中、母のモノの整理も形見分けも出来得る限りやって上げる事が出来たことに少しほっとしつつ、その間もまだ何だか夢の中の出来事のような気がしていた。大好きだったこの家とも、大好きだった軽井沢とも本当にお別れ。 |
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梅雨の真っ只中、前日までの雨がまだ残る朝、奇跡的に式の間だけ雨が止む。お 着物の方もいらしたので、きっと母が天から魔法の杖を振ってくれたの だろ う・・・。雨上がりの墓地はなんともシュールで、「人はいつか必ず死ぬのだ」という事をまざまざと感じる一方、必ずしもそれは悲しい事ではないような、不思議な気分になる。雨露に濡れた植物の透き通った美しさしさに、心が澄んでいくよう・・・。 |
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全てを終えて山の家に戻る。前日までの雨も朝の深い霧も晴れて、何事もなかっ たかのような美しい夕暮れ。長い間、私達の一喜一憂を見守っていたか のよう な浅間山に迎えられ、幻想的な夜を過ごす・・・。 |
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diary
index |
快晴の軽井沢はもう初夏の気配、今年初めてテラスでエスプレッソを頂く。6月ももう終わり、今年ももう半年が過ぎた・・・。さまざまな思いが蘇 る。どんな事があっても陽は昇り、季節は巡る。美しい露草の青がいつになく眩しい。 |